中部への首都機能移転(中間報告)−概要− 


中部への首都機能移転(中間報告)−概要− 


社団法人 中部経済連合会

I 首都機能移転の基本的な考え方

1.21世紀の国土づくりをめざした新首都

(1) 国土計画の一環としての新首都の建設

1 東京一極集中の是正と国土のバランスある発展
21世紀において、わが国が健全な発展を遂げていくには、一極集中を是正することが重要な課題である。その主要な方策の一つとして、首都機能移転がある。
2 国土計画の一環としての首都機能移転
首都機能移転を景気対策として考えるのは問題がある。やはり新国土計画の一環として推進し、新首都もその計画目標年次である2010年を目途に経済効率的に建設することが望ましい。

(2) 活力ある地域社会の形成

1 国・地方の役割分担の見直し
地方分権推進法が成立し、地方分権推進委員会では、地方に分権していく分野について検討が行われている。国会等移転調査会においても、新首都にあるべき機能として本格的な国際政治機能を掲げ、地球規模における政府の役割について言及しており、こうした視点から国・地方の役割分担を見直すべきである。
2 自治能力の拡充強化と創造性あふれる地域社会
自治能力の拡充強化と独自性を持ち、創造性豊かな地方公共団体へ転換するうえで、全国を8−9の道州制、3,200余の市町村を1/10程度に合併すべきである。

(3) 安全で安心な国土

1 多軸型・多重型国土の形成
安全で安心な国土の形成を図るには、第一国土軸に加えて太平洋新国土軸や日本海国土軸などの国土を縦貫する新国土軸の形成を図り、多軸化していくとともに地域連携軸を多重的に整備していく必要ある。
2 リダンダンシーの観点に基づく新首都の建設
東京は首都機能が移転しても、国際的な経済金融都市として機能していくことを勘案すると、新首都は少なくとも東京から100km以遠の首都圏以外の地域。国会都市を中心にクラスター状に首都機能を分散する。

2.新首都開発整備の方向

(1) 新首都の規模と建設のタイムスケジュール

国会等移転調査会において、新首都の新規開発面積を9,000haと想定しているが、自然環境との調和のとれた新首都建設の観点からは決して望ましくはない。やはり、2,000ha程度の圏域にクラスター型に配置していくのが適切である。

(2) 経済効率的な新首都の建設

1 既存都市の集積の活用
新首都建設が、未開発の白地地域に建設することになると長年月と膨大な財政資金が必要となる。近接地域に既存都市の集積がある地域で、この機能を活用し、経済効率的に建設することが望ましい。
2 用地の安定確保
新首都の建設にあたっては、開発保全地や地権者が少なく取得が比較的容易な民有地等を含めた用地の手当てが必要である。その際、移転先地の決定以前の国土法価格を基準とするなど、現行法の枠を超えた強力な制度・体制の整備が不可欠である。
3 東京の再開発との並行的推進
首都機能移転の移転に併せて、東京の過密の弊害を緩和し、交通、居住環境など諸機能の質的向上を図り、暮らしやすい安全で快適な都市環境を創出するとともに、その開発利益を新首都の建設に資金的にバックアップすべきである。

3.新首都の要件

(1) 交通利便性

新首都は、国内各地域との交通の利便性の高い地域であるとともに、海外とのネットワークの拠点を形成する地域であることが必要である。しかし、全くの白地の地域へ基盤交通体系の総合的建設を新たに行っていくことは、国民合意の形成上、問題が多い。

(2) 優れた都市環境

自然環境や景観に優れ、積雪、凍結などにより都市活動に支障をきたさない温暖な気候の地域であるとともに、恵まれた自然が存在し、手軽に楽しめるリゾート拠点や文化拠点が隣接していることも必要である。

(3) 国民的合意の形成

新首都は、地理的利便性の高いところに建設することにより、国民的合意が図れる。また財政負担が多大にならないよう移転費用は極力小さく、そして大きな効果を上げることが必要である。また、移転期間も可能な限り短期間とし、高齢化社会到来までに首都移転を完了させることが必要である。

II 新首都最適地としての中部の魅力

1.日本の中央に位置する優れた地理的条件
・当地域は日本列島の中央に位置しており、古くから交通の要衝の地であった。また、日本の人口重心が岐阜県美並村にあり、人口分布から見てもわが国の中心と言え、新首都の適地として国民的合意を形成しやすい。

2.新首都の適地としての優れた特性

(1) 優れた開発適地

・中枢都市名古屋を中心とした30〜40km圏に東海環状自動車道の建設が進められており、その周辺地域には、国・公有地、民有林など相当規模(2,000ha以上)の開発適地が各地に分布している。また、50〜60km圏に視野を広げれば、さらに適地は多くなる。

(2) 高い都市機能・社会資本の有効活用

・中枢都市名古屋をはじめ高い都市機能が集積された地方中枢・中核都市が広範に存在しており、これらの諸都市の都市機能の有効活用が可能である。
・当地域は、既存の社会資本に加え、21世紀初頭の完成をめざし、中部新国際空港、第二東名・名神高速道路、中央新幹線の建設が進められている。新首都の建設に伴い、これらの相乗的活用が期待できる。

(3) 自然条件・文化

1 豊富な水資源
・当地域は、木曾三川や天滝川をはじめとする豊かな水系を有し、全国的にも資源に恵まれた地域である。また、長良川河口堰の本格運用や徳山ダムの開発等により、将来においても豊富な水供給が確保される。
2 温暖な気候風土
・過去8年間(1986〜1993年)の平均気温は15.7℃、月別平均は最高27.2℃(8月)、最低5.0℃(1月)。
・積雪日数の過去8年間(1986〜1993年)の平均は2.6日。
3 恵まれた自然資源
・濃尾平野をはじめとする平野が太平洋側に広がり、後背地は日本アルプスに至る丘陵地、山地が連なり、また、大都市圏であるにもかかわらず、自然環境に恵まれた都市が多く自然・産業・住宅の調和のとれた地域社会を創出している。
4 豊かな文化的資産
・当地域は、日本の文化回廊であり各地域に史跡、伝統文化、祭りなどの優れた文化資産を背景とした高度な産業文化があり、新首都の文化的機能を支えることができる。
・日本の伝統文化の拠点である京都、奈良等が隣接している。

3.国内各地域とのネットワーク

(1) 鉄道:東海道新幹線に加え中央新幹線の建設により、全国各地域と結節時間はさらに一段と短縮される。

(2) 空港:名古屋空港・松本空港により、北海道・東北・四国・九州の各地域とは空路でネットワークされており、今後、中部新国際空港や静岡空港の開港によりさらに、利便性は高まる。

(3) 道路:既存の道路に加え、第二東名・名神高速道路、東海北陸自動車道、東海環状自動車道の建設により、多重・循環型交通体系が形成、全国各地との利便性は一段と高まる。

(4) 情報受発信機能

首都圏と近畿圏を結ぶわが国の国土軸の要衝に位置し、情報通信インフラも既に相当高度に整備されている。今後も研究学園都市や中部新国際空港の整備により、国際的な情報受発信拠点として機能しよう。

4.海外とのネットワーク

(1) 国際空港

わが国第三の本格的国際空港である中部新国際空港の建設により、海外の各都市とも広く結節され、日本の玄関として機能する。

(2) 国際港湾

特定重要港湾として名古屋港、四日市港、清水港、重要港湾として、三河港、衣浦港、津・松阪港、田子の浦港を擁し、伊勢湾は国際ハブ港と位置付けられている。

5.中部の適地
(1) 名古屋東部・東濃地域
(2) 三遠地域
(3) 北勢地域
(4) 飯伊地域
(5) 木曾三川河口周辺地域

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