新首都建設が日本経済に与える経済波及効果


新首都建設が日本経済に与える経済波及効果


産業連関係分析を使って、新首都建設のための建設投資が日本経済におよぼす経済効果を計測した結果、25.3兆円の生産誘発効果が生まれると予測された。これは、直接的な投資額9兆円(基盤整備費2兆円、施設整備費7兆円)が建設業を通して各産業に波及し、それによって約2.8倍の生産が誘発されることを示している。そのため、最も大きな経済効果を享受できるのは建設業ということになるが、その他のにも商業や対事業所サービス、運輸などの第3次産業や、鉄鋼、金属製品などの製造業にも大きな効果が表れている。
 各産業の生産増は25.3兆円と予測されたが、仮に新首都建設が最速で完成するとしたら、1年当たり2.5兆円の経済効果が発生することなり、これは日本のGDP469兆円(1994年)の0.5パーセントに相当する。このうち粗付加価値のみの生産誘発効果は12.9兆円となり、新首都建設を10年間で行えば、日本のGDPを年間0.28パーセント引き上げるだけの経済効果を持つと言える。
 この経済効果を「雇用者および企業の所得」という側面からみると9.7兆円の所得が発生し、これをすべて雇用者の所得と仮定すると、日本国民1人当たり7.9万円所得が増加することになる。また、9.7兆円という所得を雇用機会に換算すると147万人の雇用が新規に発生することになる。
 すなわち、新首都の建設が10年間で行われると仮定すれば、1年当たり日本のGDPを0.3パーセント弱引き上げ、年間14.7万人分の新規雇用を発生させるだけの経済効果があることは検証された。しかし、仮に9兆円という投資が東京に集中的に行われれば、日本全体の人口の1/4を占める首都圏民の生活はかなりよくなるのではないだろうか。1991年の都内総資本形成の内の公的投資額は4140億円である。こうした通常の公的投資以外に、さらに総額9兆円の投資が10年間にわたって行われれば年間9000億円の投資が追加され、トータルで現在の3倍以上の公的投資が行われることになる。そうすれば、遅々として進まない道路や鉄道の整備、公園や住宅の整備が飛躍的に進展するのではないだろうか。新首都の建設はその投資によって大きな経済効果をもたらすが、過密による通勤混雑や住宅問題の犠牲になっている首都県民の生活向上効果までも含めると、はたして最適な投資と言えるだろうか。それよりも、東京の社会資本整備のために重点投資を、という主張もあるのではないだろうか。

新首都建設が日本経済に与える経済波及効果

生産誘発効果所得形成効果雇用機会創出効果
農林水産業3,896億円1,699億円15,713人
鉱業 1,398億円481億円5,961人
食料品6,711億円1,329億円27,269人
繊維製品2,487億円724億円20,764人
パルプ・紙・木製品8,189億円2,193億円39,837人
化学製品4,884億円1,133億円9,661人
石油・石炭製品3,106億円218億円1,490人
窯業・土石製品6,671億円 2,013億円27,273人
鉄鋼10,270億円1,874億円14,154人
非鉄金属2,130億円437億円4,876人
金属製品10,591億円3,502億円61,828人
一般機械1,900億円578億円7,730人
電気機械3,664億円918億円14,944人
輸送機械2,544億円449億円5,803人
精密機械240億円86億円 1,369人
その他の製造工業品6,658億円2,084億円 33,402人
建設91,645億円36,672億円 531,214人
電力・ガス・熱供給3,464億円958億円 4,688人
水道・廃棄物処理974億円420億円 4,877人
商業16,864億円10,170億円 224,289人
金融・保険7,427億円4,444億 50,497人
不動産8,941億円4,752億円 11,984人
運輸 11,051億円3,875億円 65,969人
通信・放送2,338億円1,128億円 12,958人
公務176億円117億円 1,657人
教育・研究2,368億円1,365億円 20,085人
医療・保険・社会保障3,795億円1,811億円 32,178人
その他の公共サービス 758億円415億円 8,000人
対事業所サービス 15,877億円6,914億円 119,416人
対個人サービス 9,334億円4,283億円 88,522人
その他・分類不明 2,431億円 482億円 1,107人
合計 252,792億円97,495億円 1,469,514人

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