新首都の役割
四季折々に美しい景観を織りなして広がる福島県・阿武隈地域等に建設・整備される新首都は、21世紀の日本の進路を象徴し、新しい政治・行政や本格的な国際政治を担う新しい都市として、本地域から福島県全域、日本全国、そして世界に対し、様々なインパクトを与えながら、長い時間をかけて成長していくと期待されるが、特に次のような大きな役割を果たしていくものと考えられる。
(1)21世紀のモデル都市
新首都は、自然と都市及び自然と人間との新たな関係の中で育まれる、真に豊かな生活環境を有する空間として、21世紀の都市のあり方を日本国内はもとより世界に向けて提示していく役割を担うことになろう。
(2)新しいライフスタイルの提示
新首都は、参加・分権型の社会システムの上に立ち、個々人の価値観に応じた多様な暮らしの選択とそれを通じた新たな文化の創造を可能とする21世紀の文化やライフスタイルを積極的に提示していく役割を担うことになろう。
(3)新国土軸形成の先導
新首都は、人・物・情報の大きな流れを形成・リードしていくとともに、多様な地域連携のあり方を示すなど、北関東から東北・北海道に至る新しい国土軸の形成を先導していく役割を担うことになろう。
(4)ネットワーク形成の拠点
新首都は、国際化・情報化の進展を踏まえ、陸・海・空の交通網や高度な情報等の通信網をも十分に活用した、日本の各地域及び日本と世界を結ぶ、人流・情報流のネットワークの形成拠点としての役割を担っていくことになろう。
(5)新しい生活圏の創造
新首都は、地域のポテンシャルを的確に引き出すなかで、これまで本県が進めてきた交流と連携を基調とする多極ネットワーク型の県土づくりと調和のとれた新しい生活圏のモデルとしての役割を担っていくことになろう。
新首都の基本理念
今、わが国はかつてない消費文化を謳歌する世界有数の国家のひとつとなり、国際化・情報化の進展はさらに私たちの生活や生産の場を世界的な空間へと広げようとしている。
一方、私たちの考え方や行動に対し、常に大きな影響を与え、日本の原風景を形づくってきた「豊かで変化に富んだ自然」は、私たちの目の前から、心の中から大きく後退している。
自然、特に森林は国土を保全し、大気を清浄化し、水資源をかん養し、地球上に生きるもの全てにとってかけがえのない緑豊かな空間を提供するなど、極めて重要な多面的な役割を果たしてきた。しかし、私たちはその歴史の中で森林を破壊し続けてきた。森林を破壊することによって、文明を維持発展させてきたとも言える。
そして、現在、これまで私たちが拠り所としてきた価値観、積み重ねてきた様々なシステムは大きく揺らぎ始めており、新世紀に向けて真に豊かで活力ある社会を構築していくための新たな取り組みが求められている。
このようなことから、私たちは人類と地球の未来を暗示する象徴的空間としての「森林」への想いを出発点に21世紀における新しい価値観を築き上げていく必要がある。
21世紀の新首都は、自然と人とが新しい関係を築き上げる中でそこで暮らす人々が個性的で充実した生活を送り、感性に富んだ時代感覚を持って新たな日本の創造に参画することができる豊かで活力に満ちた生活・生産空間であるべきである。
そのような自然と共生する都市の中でこそ、人は精神的にも肉体的にも健康で、個人としても集団としても自立可能な確かな生き方を選択し、そして地域の内外や世界各地との交流が新たな可能性を切り拓いていく豊かで充実したライフスタイルが実現するものと考えられる。
新首都は、私たち人類の英知を国内外に示し、21世紀以降の日本の進路を確かなものとしていく「森にしずむ都市」を目指すものとする。